@phdthesis{oai:u-ryukyu.repo.nii.ac.jp:02005762, author = {服部, 洋一 and Hattori, Yoichi}, note = {要旨:19世紀中頃のスペインのカタルーニャ地方において, 主に文学をその起点として始まったくカタルーニャ・ルネサンス〉(Renaixencaレナシェンサ) は, その後国民的文化・社会運動へと拡大した。カタルーニャは, すでに中世において, 商業を中心にその勢力を地中海に拡大し, 海洋帝国を築いたが, ルネサンス期以後は, 再征服運動の中心的役割を果たしたカスティーリャの中央集権的政治政策に, その政治的主導権を奪われ, カタルーニャはその後幾度も, その地方主義的自主独立性に対する弾圧を受け続けてきた。このような歴史的背景が強く影響して, カタルーニャ・ルネサンスは, カタルーニャの独自性の回復を強く主張するカタルーニャ・ナショナリズムへと発展した。諸芸術(文学・絵画・建築)においても, カタルーニャの歴史的・地理的アイデンティティーを全面に押し出した作品や, あるいはそれを内包する作品が数多く生み出された。絵画や建築の分野では, これまでは, レナシェンサの精神と作品との関連を究明したものも発表されたが, その影響を必ず受けたに違いないカタルーニャ歌曲に関しては, 皆無といってよいほどである。, 本論文は, カタルーニャ・ルネサンスが円熟期を迎えた今世紀前半に多くの歌曲作品を残したエドゥアルド・トルドラとフレデリク(フェデリーコ)・モンポウの歌曲を研究の対象とし, これらの歌曲に現れたカタルーニャ・ルネサンスの影響を, 歌曲作曲のために選ばれたテキストの特徴と傾向性の分析や, 歌曲作品における音楽的表現とその手法の分析等を通して究明していく。レナシェンサの時代精神とは何だったのかを, カタルーニャの歴史と社会状況を通して, また実際にレナシェンサの影響を持つ美術・建築作品を通して明らかにし, 空間的造形的芸術とは異なる歌曲という特殊性の中にあっても, 明確に平行現象として起こったことを解明する。二人の作曲家のうち, トルドラには特にレナシェンサの直接的な影響が強く見られ, それはまず, 彼の歌曲作品の数多くがテキストの選択において, レナシェンサの詩人の作品に集中しており, しかもレナシェンサの時代精神を特徴づける自然賛美その他を初めとしてカタルーニャのアイデンティティーを殊更に強調する内容を持つものが多いという側面に現れてくる。一方テキストの選択に関しては, 一見トルドラほどの影響が感じられないようなモンポウの歌曲作品においても, 様々な形でカタルーニャのアイデンティティーへの執着をやはり数多く指摘することができ, モンポウの場合は, 更にレナシェンサの興隆がやがて迎えることとなる悲肋的展開をも, 時代に先駆けてとらえ, その不安と危機感を歌曲として表現するに至ったという点において, やはりカタルーニャ・ルネサンスと強いかかわりを持っていたことを指摘する。またこれらの事実を裏付ける音楽表現の手法に関しては, 楽曲分析を通してその特徴的側面を抽出し, トルドラにおいては, 彼自身が歌曲作曲の際に, 常に広範な民衆に寄与することを念頭に置き, テキストの内包する文学性・精神性を親しみやすい旋律に乗せ, また伝統的作曲法・和声理論の範疇の中だけで, いかに効果的に音楽表現を行ったかを論証する。それはすなわち民衆運動としてのレナシェンサにおける, トルドラの果たした業績であったことを指摘し, また彼が20世紀前半の特殊な地域・特殊な時代において作曲した歌曲作品の中に, いかに普遍的今日的意味があるかについても触れる。一方モンポウは, そのピアノ曲においてと同様に, 歌曲においても常に彼自身の響き・彼独自の語法を追求したが, その個性的響きを形成するものは何なのか, またそれが具体的にどのような部分に現れているかを明らかにする。またこのような手法を通してレナシェンサの現状や来たるべき未来への警鐘を, どのような形で表現しようとしたかを明らかにする。, 報告番号(博音第18号), 学位論文}, school = {東京芸術大学}, title = {トルドラとモンポウの歌曲研究 -歌曲における<カタルーニャ・ルネサンス>の意味-} }