@article{oai:u-ryukyu.repo.nii.ac.jp:02006846, author = {高良, 鉄夫 and Takara, Tetsuo}, issue = {9}, journal = {琉球大学農家政工学部学術報告, The science bulletin of the Division of Agriculture, Home Economics & Engineering, University of the Ryukyus}, month = {Dec}, note = {1.本章は琉球列島における陸棲蛇類の地理学的研究の成果を収録したものである。2.本章における琉球とは九州本土と台湾の間に介在するすべての島嶼を含み、これを地域別に分けて薩南群島、トカラ列島、奄美群島、沖縄群島、宮古群島および八重山群島とする。3.琉球列島に産する陸棲蛇類は11属28種、その中台湾および熱帯アジアとの共通種1種、台湾および南支との共通種1種、日本との共通種5種、固有種(亜種を含む)21種となっており、属の分布から見ると1部を除く他はすべて南方系である。4.各地域別に種の分布を明確にし、特に毒蛇の分布については詳細に記述した。5.琉球列島における地域別分布は南下するにつれて多くの種を保有し、北上するにつれて独特の分化をしたものがある。6.島嶼別に見ると相互の遠近にかかわらず地質が古く、地形が複雑で且つ標高の比較的高い陸島は多くの種を保有し、ほぼ同一環境にある島嶼は、その保有種数も同じである。7.無毒蛇は特定の属を除く他は普遍的に見られるが、有毒蛇はある不連続的な分布をしている。8.不連続的な分布に対する俗説を分析し、更に分布を規定する諸要因を分析吟味した結果、この奇異な分布は琉球列島の地史と過去における蛇類の生態分布ならびに毒蛇の習性の相違によるものであることを明らかにした。即ち次の通りである。琉球列島における毒蛇特にハブ属の原種は琉球列島のある陸化時代に台湾から陸橋によって渡来し、全琉球に広く播居していたものであるが、当時既にトカラ海峡が存在していたので、それ以北には渡ることが出来なかった。しかも当時ハブ属の中でも類縁系統の近似したハブ、サキシマハブの原種は概ね山の上層部を占め、その1部は更に宝島まで北進した。ヒメハブとベニヘビ属は概ね山の中腹に、無毒蛇は主として中腹から山麓にかけて生態的分布をしていたものと考えられる。, その後琉球期に海浸が起り、低部は海となり、琉球列島の大部分即ち多くの陸島が出来た。そのため比較的高い山のある陸島にはサキシマハブ、ハブ、ヒメハブ、ベニヘビ属および無毒蛇、比較的低い山地のある陸島にはヒメハブ、ハイ属および無毒蛇が各取り残された。後琉球期に陸地の上昇が起こり、琉球石灰岩は海上に露出し、宝島と小宝島は陸続きとなり、奄美群島と沖縄群島は大きな一連の島となり、また先島(宮古および八重山群島)も他の大きな一つの島となった。この時代に山の中腹以下主として山麓地帯に棲息していた無毒蛇は新たに陸続きになった低平な島に移住したが、毒蛇は依然として中腹以上に播居していたので、低平な島には移動しなかった。ついで国頭期に陸地の沈降があり、そのため低平部は海となり、琉球石灰岩で出来た大部分の島嶼は各主要島(陸島)から分離した。この際これらの島嶼の中喜界島、沖永良部島、与論島、粟国島、久高島、宮古群島、津堅島、波照間島、与那国島は無毒蛇だけを保有して隔離され、その後毒蛇の分布する島嶼と陸続きとなることなしに今日に至ったので、毒蛇を産しない。後国頭期に国頭礫層が琉球石灰岩とともに傾動するような地殻の変動が起こり、海は退き一部の島は再び陸橋によって連絡された。当時山地の上層部および中腹に播居していた毒蛇も地形の変動、気候、その他地理的環境の激変に伴ない低平部にも移動した。この際毒蛇の棲息している主要島と陸続きになった島は無毒蛇は勿論有毒蛇を産する。ハブを産してヒメハブを産しない島嶼は、その島の環境と両種の生態的要因の相違によるものである。蛇類を全く産しない島は、その島が成立して以来、ヘビを産する島と陸続きになることなしに今日に至ったものである。メクラヘビは鉢植その他土の付着した物質によって、その卵が人為的に移動され易いので、地史を論ずる資料としては、それ程重要性がない。要するに琉球列島における毒蛇の奇異な分布は、琉球列島の地史、過去における蛇類の生態分布、毒蛇の習性等によって解明できるものであり、ハブ属の現存しない島にハブが育たないという理由は全くないのである。, Plate:i-xxii, 紀要論文}, pages = {1--202}, title = {琉球列島における陸棲蛇類の研究}, year = {1962} }