@phdthesis{oai:u-ryukyu.repo.nii.ac.jp:02019343, author = {仲宗根, 峻也}, note = {亜熱帯島嶼地域における環境水中のトリチウム (H^3) とラドン (Rn^<222>) の挙動を明らかにするとともに、トリチウムとラドンをトレーサーとして比較的空隙の多い離水サンゴ礁起源の石灰岩地域における地下水の浸透量や滞留時間を推定するため、日本の南西部に位置する沖縄島における環境水中のトリチウムおよびラドン濃度の季節変動とその分布に関する研究を実施した。 2014年 6月から、沖縄島南部の鍾乳洞(玉泉洞)内滴下水と中南部 2ヶ所の湧水(森の川、垣花樋川)について毎月試料を採取した。また、南部の米須では 2018年 4月から、受水では 2018年 5月から湧水試料の採取を開始した。さらに、 2014年 6月から沖縄島中部に所在する琉球大学において降水の毎月採取を実施している。降雨については全国的な比較を行うため、北海道札幌市および岐阜県土岐市においても採取を実施した。玉泉洞、森の川、垣花樋川、受水、米須における湧水のトリチウム濃度の算術平均 ± 標準偏差は、それぞれ 0.14 ± 0.04 Bq L^<-1>、0.13 ± 0.03 Bq L^<-1>、0.13 ± 0.03 Bq L^<-1>、0.14 ± 0.03 Bq L^<-1>、および 0.15 ± 0.04 Bq L^<-1>であったことから、沖縄島中南部の陸水中トリチウム濃度には大きな時間変動はなく、空間的にも概ね一様な濃度分布であることが認められた。降水中トリチウム濃度の算術平均 ± 標準偏差(濃度範囲)は、 0.14 ± 0.06 Bq L^<-1> (0.05-0.39 Bq L^<-1>) であり、春季に高く秋季に低いという季節変動がみられた。また、同時期に採取した北海道と岐阜県の降水中トリチウム濃度の算術平均 ± 標準偏差(濃度範囲)は、それぞれ 0.69 ± 0.30 Bq L^<-1> (0.16-1.59 Bq L^<-1>)、岐阜県で 0.32 ± 0.12 Bq L^<-1> (0.10-0.86 Bq L^<-1>) であった。これらから、高緯度地域である北海道で濃度が高く、低緯度地域である沖縄県で最も低い値となる緯度効果が確認された。玉泉洞、受水、米須の 3ヶ所で得た 2016年 10月以降の試料について、水中ラドン濃度測定を実施したところ、算術平均値 ± 標準偏差はそれぞれ 10 ± 1.3 Bq L^<-1>、3.2 ± 1.0 Bq L^<-1>、および 3.1 ± 1.1 Bq L^<-1>であった。水中ラドン濃度は夏季から秋季にかけて徐々に増加する傾向を示し、冬季には減少した。単純なラドン挙動モデルから、玉泉洞を胚胎する石灰岩体については降水が 7~10日で洞内に浸透すること、この石灰岩体を覆う土嬢中の降水滞留時間は約 50~80日であると推定された。また、受水と米須における石灰岩中の地下水の滞留時間は、それぞれ 12~21日と 12~19日であった。さらに、採取した降水中の水素・酸素安定同位体比とイオン成分を分析し、これに大気の後方流跡線解析の結果を組み合わせることによって降水中トリチウム濃度の変動要因について検証した結果、沖縄島の大気が年間を通して周辺海洋の影響を強く受けていること、特に黒潮流域から大気へ供給される水蒸気が大きく影響していることが示唆された。 トリチウム及びラドンの環境動態(特に降水のインプット情報、湧水などのアウトプット情報)を理解することで、石灰岩地域における地下水の時間情報を推定することが可能である。}, school = {琉球大学}, title = {石灰岩地域における環境水中トリチウムおよびラドンの挙動に関する研究} }