@phdthesis{oai:u-ryukyu.repo.nii.ac.jp:02019344, author = {福地, 伊芙映}, note = {ボラ科魚類は日本から 8属 16種が報告されており,水産重要種や希少種を含む.また,その卓越した現存量によって,沿岸生態系を支える重要な分類群でもある.しかし,本科魚類は形態が著しく類似しており,分類学的な混乱が見られる.特に,同定に重要な形質が未発達,あるいは破損しやすい稚魚期においては形態に関する知見が乏しく,同定が極めて困難である.よって,本科魚類の分布情報や生態に関する知見はおそらく混乱しており,水産利用や保全策を策定する上で必要不可欠な基礎的知見が欠落している.正確な同定方法の開発とその分布・生態に関する知見の収集は,本科魚類を持続的に利用していく上で喫緊の課題である. そこで,第 1章では DNAバーコーディングを用いて分類学的単位 (OTU) として本科魚類の多様性を把握したのち,形態観察を行い OTU 間の同定方法を開発した.また,本邦産本科魚類の分類を総括した瀬能 (2013) と各 OTU がどのように対応するのかを検討した.DNAバーコーデイングの結果, 23OTU が確認された.これらの OTU は形態によって識別が可能であるか,同所的に生息しており,形態的種概念あるいは生物学的種概念を満たすことから,種として扱うことが妥当であると考えられた.稚魚の標本が得られた 19種について形態を検討した結果,タイワンメナダ種群間 (2種) とボラ種群間 (3種) 以外については形態により識別が可能であることが判明した. また,第 2章では沖縄島と西表島においてメナダ属 3種の生活史に関する知見を集積した.その結果,以下のような違いが見られた;最大体長 1) 最大体長:雌 242mm,雄 215mm SL vs 雌 200mm,雄 154mm SL vs 雌 204mm SL,雄 146mm SL (コボラ vs セスジボラ vs ヒルギメナダ);2) 最高齢:雌 8歳,雄 5歳 vs 雌 5歳,雄 2歳 vs 雌 7歳,雄 3歳;3) 最小成熟年齢:雌 2歳,雄 2歳 vs 雌 1歳,雄 1歳 vs 雌 2歳,雄 1歳;4) 産卵期:11-5月 vs 123月 vs 12-3月を含む;5) 加入期:1-5月 vs 2, 3月 vs 1-3月を含む.また,ヒルギメナダの稚魚はマングロープに集中して出現することが判明した.このような生活史特性の違いは,本科魚類の多様性を維持する上で重要な役割を担っている可能性がある. 第 3章では 1章と 2章の結果を踏まえ,八重山諸島の固有種である可能性が高いヒルギメナダや ROB 掲載種の保全ランク,水産重要種として利用されているボラ種群の保全策について議論した.}, school = {琉球大学}, title = {日本産ボラ科魚類の同定と生態に関する研究} }