@phdthesis{oai:u-ryukyu.repo.nii.ac.jp:02019806, author = {大城, 史帆 and Oshiro, Shiho}, month = {Mar}, note = {近年メタンハイドレートなどの海底天然資源の海洋開発の進展により、深海探査が不可欠になっている。深海探査の他にも海洋養殖モニタリングやマリンレジャー等での水中ドローンも利用されており、世界中で自立型無人潜水機(AUV: Autonomous UnderwaterVehicle)の研究・開発が盛んになってきている。AUV の最大の利点はテザーケーブルを使用せずに完全に自立型で行動する無人潜水艦である。これらの研究・開発で必要不可欠となる水中音響通信は問題が多くあるが、その中でも以下の3 つの問題に焦点を当てた。(1) 問題1 : 有線長による探索エリアの制限現在の水中ドローンはほとんどの機種が有線接続で使用されており、探索エリアがワイヤーの長さによって制限されてしまう。有線接続での問題は探索範囲が制限されること以外にも岩場での断線の可能性などもあるため、無線化されたAUV が要求されている。(2) 問題2 : 定期的にAUV を母船へ回収する必要性問題1 でも提示した通り、現在使用されているAUV のほとんどが有線接続のため、テザーケーブルなしで使用するAUV を動作させるにはAUV 本体を定期的に回収し、中に入っているデータを回収する必要がある。(3) 問題3 : 海面や海底の反射波で発生するマルチパス水中で通信を行う際に発する送受信波は、垂直通信の場合、干渉はあまり発生せずに受信できるのだが、水平通信の場合は海面や海底に反射し、マルチパスが発生する。この問題が最も解決が困難とされており、マルチパス対策は必要不可欠となる。本研究はこれら3 つの問題に対して各自解決策を提案し、シミュレーション及び実験を行った。本論文は全6 章で構成されており、第1 章では研究背景と目的を述べる。第2 章では、本研究に使用する技術の基礎概要を述べている。第3 章では、問題1 と問題3 を解決するべくサイクリックプレフィックス(CP : CyclicPrefix)なしSTBC-MIMO OFDM による水平水中通信を提案した。従来、直交周波数分割多重(OFDM : Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を使用する際はシンボル間干渉(ISI : Inter Symbol Interference)やキャリア間干渉(ICI : Inter CarrierInterference)を防ぐため、CP をOFDM シンボルの下部から上部に付加して使用する。しかし、CP を付加することでOFDM のデータ容量が減少してしまう。そこで、CP を付加することなく干渉を対策し、OFDM 通信を行う事が可能かどうかを検討した。ISI はLeft Null Space の直交基底を使用して削除できる。ICI は最小平均二乗誤差(MinimumMean Square Error)の重みを使用することで削除する事ができる。実際にMATLAB にて2送信3受信及び2送信4受信のシミュレーションを行い、マルチパスによる遅延を改善する事ができた。第4 章では、先行研究を基にCP なしSTBC-MIMO OFDM による水平水中通信の研究をさらに改良し、斜投影(OB : Oblique Projection)方式を採用した性能向上を提案した。この方式は、最小二乗法(LS 法 : Least Squares Method)及びハウスホルダー変換によるQR 分解ベースのOB 演算子を使用して構造化ノイズを完全に削除することができる。シiiiミュレーションでは2 送信3 受信及び2 送信4 受信で行い、2 マルチパスと多マルチパスの環境で比較を行った。両環境でもマルチパスによる遅延を抑圧する事ができた。実際に静岡県沼津市の内浦湾で行われた海洋実験では、従来通りのCP ありOFDM システム、何も対策していないCP なしOFDM システム、そして提案したCP なしSTBC OFDM システムのこれら3 つの環境で比較実験を行った。従来方式は何も問題なく通信する事が可能であり、何も対策していないCP なしOFDM システムは干渉の影響を最も受け通信が不可能だった。提案したCP なしSTBC OFDM システムでは遅延を抑圧する事ができており、従来方式同様安定した通信を可能とした。第5 章では、問題1 及び問題2 に焦点を当て、32kHz 帯域幅の水中小領域音響ネットワーク(USAAN : Underwater Small Area Acoustic Network)を使用したプロトタイプの無線水中ロボット制御システムを開発した。このテーマは沖縄高等工業専門学校、その他複数の民間企業と共同研究しており、水中ドローンチームとシステム開発チームに分かれて行った。琉球大学が担当したのはシステム開発チームである。時分割複信(TDD :Time Division Duplex)及びドップラー補正を使用したシステム構成となっており、1 つの基地局と複数のユーザー機器(UE : User Equipment)で無線サービスエリアを作成し、基地局は1.0 秒毎のダウンリンク(DL : Down Link)を送信する。そして、空きスロット中にUE の1つがDL 信号と同期し、アップリンク(UL : Up Link)信号を送信する方法である。今回はTDD-USAAN の有効性を確認すべく、CP は付加したまま行った。シミュレーション結果はドップラー補正が働いており、コンスタレーションの乱れは改善した。静岡県沼津市内浦湾のバージで行われた海洋実験では、16QAM のコンスタレーションは正常に確認された。その後、プロトタイプ無線水中ロボットに組み込み、水中ロボットを実際に制御することに成功し、水中ドローンで撮影した240x213 ピクセルの水中写真をリアルタイムでアップロードする事に成功した。第6 章では、問題1 から問題3 の全てに焦点を当て、2 つの先行研究を基にチャネル伝達関数(CTF : Channel Transfer Function)と初期同期を備えたUWA OFDM 通信システムを提案した。データを受信した際、初期伸び縮み係数β1 を検出するため、OFDM 信号の先頭へ2 つの長いチャープ信号を挿入して周波数差を検出する。その後その値を初期値に適用する事でドップラー補正を行う。CTF ではコンティニュアス・パイロットを使用して検出した値と本来の値のずれを計算し、修正したCTF を使用して等化した結果を出力する。シミュレーションでは提案する方式の方が安定して通信できており、コンスタレーションも歪みを改善する事ができた。無反響プールでの実験はCTF 補正ありとなしを比較し、CTF 補正ありの方がコンスタレーションもクリアに受信できた。最後に第7 章では本研究の成果についてまとめ、冒頭で掲げた3 つの問題点に対応した提案の有効性を明らかにする。そして、今後の展望を述べる。}, school = {琉球大学}, title = {水中音響通信による水中での安定的な無線通信の実現及び大容量化に関するシステム構築の研究}, year = {2023} }